2017年9月11日、「ダイヤモンド・プリンセス」は函館港に寄港しました。お天気はあいにくの雨。
朝早く「ホライズン・コート」で朝食を済まし、9時からのZUMBAに備えていました。今日のインストラクターは日本人女性のエリカさん。
わかりやすい振り付けであっという間の45分間!昨日はZUMBAがなかっただけに、筆者達踊る側もノリノリ!
今日は函館寄港だけど、雨降りなので下船はしないことに。広い港のはるか向こう側についている大型客船も大いに気になりましたが。。。
函館出身の友達から、「ラッキー・ピエロ」というハンバーガー店の存在を聞いてとても気になっていました。なんでも函館ではシェアがマクドナルドより多いそう。チキンタツタのような唐揚げが挟んである「チャイニーズチキンバーガー」が一番人気で、こってりした味が人気なのだとか。その他、「土方歳三ホタテバーガー」「いか踊りバーガー」「函館山バーガー」などネーミングセンスもユニークで、バーガーのビジュアルもすごく、「インスタ映え」必至です。
「全国ご当地バーガー日本一」にも輝いたハンバーガーを一度食したいと思いつつも、あいにくの雨、そして常に満腹のため、どうも食指が動かずに断念!取材者の風上にも置けませんな。
でもたまたま函館に行く用事があり、快晴の函館で是非、この一風変わったバーガーを食べてみたい!と言われる方は、是非一度お試しください!
ラッキー・ピエロのHPを見るとなんと函館市内に17店もある!それに港湾地区にも数店あったので、無理してでも行くべきだったか、とちょっと反省。10年若ければ、勢いで行っていたかも知れません。
泉の湯&サウナ・ジャグジー

今日はかねてから入ってみたかった「ダイヤモンド・プリンセス」15階前方にある「泉の湯」に入ってみることにしました。
泉の湯は2014年に「ダイヤモンド・プリンセス」が日本発着クルーズのために改装を行った時に増設されたそうです。温泉ではないのですが、2つのジャグジーにもなる湯船や打たせ湯、サウナ、そして屋外のジャグジー。
船の前方にあるため、湯船やサウナからも、大海原が見渡せます。
まず、内線電話で予約
「泉の湯」はまず、予約をしなくてはいけません。
客室内の電話に「泉の湯」のボタンがあるので、押すと日本人の方が出たので予約をしたい旨を伝えると、いますぐでもOKとのこと。
すぐさま、着替え、洗面用具と水着を持って泉の湯へ。
筆者が入った時は、一人先客がいたのですが、途中からは貸し切り状態!時間が午後2時とは言え、もっと賑わっているのかと思いました。
1回15ドルの利用料はちょっと高いとは思いましたが、貸し切りのサウナやジャグジー、気持ちよかったです。
雨の中で屋外ジャグジー

水着に着替えて、屋外のジャグジーに入ろうとした時は、非情にも雨が降ってきました。完全な防水屋根ではないため、雨に濡れながらの入浴。でもジャグジーが水ではなくお湯のため問題はそれほどありませんでした。
屋外のジャグジーははしご状の階段を登って入る上、深さが1メートルほどあり、子供さんやお年寄りにはちょっと危険だと思いました。あまりバリアフリーは意識していない作りですね。それに湯に浸かってしまうと、外の景色が見えないのが難点です。それに、ジャグジーのバブルが強すぎて、気を抜くと吹き飛ばされそうになるので、しっかり手すりを握っていて下さいね!
終日航海日
9月12日は終日航海日でした。この日は函館を出航し、一路横浜に向けて船を進めます。
終日航海日には、ZUMBAのマスタークラスがありました。このクラスには、いままで教えてくれたリンさん、エリカさん、そしてクリスさんが総出のZUMBAクラスでした。
ゲスト側も最後のZUMBAクラスとあって、ノリノリの45分。聞き覚えのある曲もかかり、筆者もハッスルしてしまいました。ZUMBAクラスは航海中何回かあったため、その間にお友達も出来ました。東京在住のTさん、そしてイギリスはマンチェスターから来られたAさんです。Tさんとは、帰国してから会う約束をしました。そしてAさんは、横浜で下りずに連続乗船をされるとのことで、なんと台風の発生している九州に向かって行かれましたが、その後どうなったのか心配です。
ZUMBAクラスも今日で終わり、と思うと別れるのが辛かったです。8日間も同じ屋根の下?で一緒に過ごしていると、一種の連帯感のようなものが生まれてくるようです。これは普通の団体ツアーでは経験したことがない感情なので、船旅独特のものなのではないでしょうか?
そしてこの日、はじめて「プロダクション・ショー」を見ました。
プロダクション・ショーとは、プリンセス・クルーズオリジナルのショーで、ブロードウェイ・スタイルのショーが船内で無料で見られます。
出演者のオーディションにも世界中から応募があり、かなりレベルが高いとは聞いていました。しかし見てびっくり!もう「すごい!」の一言です。
凝った作りのセット、おまけに音楽は生演奏。出演者の演技や踊りも本格的です。
もう東京で見たらこれだけで1万数千円は取られそうです。
9日間のクルーズ中、3日ほど行われ、1日に2回行われるので6回は見られるのに、横浜に帰港する1日前にやっと見ました。これはもったいないことをしました。プロダクション・ショーの他にはマジック・ショー、落語などもあったのですが、こちらも見ずじまい。次回は欠かさず見ようと思います。
下船準備
横浜到着前日の夕方、部屋には下船の準備についてのお知らせが入っていました。「本日、夕食に出かける前までに、荷物をドアの外に出しておいて下さい」とのことです。
寝る前に出せばいいのだと思いこんでいたので、これにはちょっと慌てました。急いで、もう着ない服や靴などをまとめ、スーツケースの中にパッキングしました。しかし、けっこうまだ使うだろうな、というものが多く、小さいカートの中も満杯状態に!結局、船から頂いたプリンセス・クルーズのトートバッグの中まで満杯状態の荷物になってしまいました。
なんとかパッキングをすませ、スーツケースを部屋の外に出し、夕食に出かけました。
最後のディナー

最後のディナーはやはり、コース料理のレストラン「サンタフェ」へ。おなじみのアンソニーさん、マリオさんもばりっと黒服で立っておられました。
ラテン系の明るい笑顔のマリオさんに「今日で最後だね」というと、心なしか、悲しい顔をしてくれたのが印象的でした。彼らにとっては、何度も繰り返されるクルーズ。6ヶ月休み無しの勤務の間、違う顔のゲストがただ繰り返し乗ってくるだけなのに、彼の目には筆者はどう写ったのでしょうか?

こころなしか悲しそうな彼とは裏腹に、レストラン内にはアナウンスが響き渡り、ZUMBAでおなじみのラテンの曲が流れてきました。以前に乗船された方のブロクで読んだ、「ベイクド・アラスカ」の儀式。3色のアイスクリームを、こんがり焼き目をつけたメレンゲで包んだ「ベイクド・アラスカ」が焼きあがったようです。
それをコックさんやウエイターさんが客席に運んでくる儀式がこの「ダイヤモンド・プリンセス」の名物となっているようで、客席はそれに対して、ナフキンを振り回して応えます。
なんとも愉快な時間でした。きっと外国船ならではの、儀式なのでしょうね。
映画「白い帽子の女」
楽しかったディナーも終わり、部屋に帰り着きました。今頃になって、衛星の電波は回復し、オンデマンドの映画も見ることが出来るようになっていましたので、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー夫妻主演の「白い帽子の女」を見ました。
原題は「By the sea」で、なんだかクルーズにぴったりのオシャレな映画なんだな、と思いましたが、内容はもっとシリアス&エロティックで、男性拒否症の女性がたまたまフランスのリゾートホテルで隣の部屋との壁に開いている穴から隣の部屋のカップルの営みを何度か「見学」しているうちに、だんだん男性を受け入れていく過程を描いた話でした。
セルジュ・ゲンズブール&ジェーン・バーキンのBGM、南フランスの風景や、タイプライターを使っている時代のレトロなガジェットやファッション、そして「壁の穴」という定番のモチーフながら、親子でそれを楽しんでしまったというのも、船旅ならではの醍醐味でしょう。
お互い、要所要所で咳払いをしながらも映画を見ながら就寝。。。
横浜帰港&最後のホライズン・コート
とうとう最後の朝がやってきました。
朝6時前、「ダイヤモンド・プリンセス」は横浜港に入港。筆者が目覚めてカーテンを開けた時には、すでに船は桟橋に着岸しようとしていました。
「ダイヤモンド・プリンセス」の入港時間はたいてい朝早いので、客船見学の時も、「ダイヤモンド・プリンセス」だけ入港シーンに間に合ったことがなかったのですが、自ら入港船に乗っているとは皮肉です。
身支度をして最後の「ホライズン・コート」へ。
朝食は下船日でも利用できるのが嬉しいです。
同じことを思っている人も多いのか、「ホライズン・コート」は、いまだかつてない混雑でした。
とうとう最後まで、レストランの窓側の席に座れなかった、と思いつつ、自分の中での指定席と化した、プールサイドの半オープンエア席へ。

カリカリベーコンとも今日でお別れです。
ウエイターさんが、飲み物のオーダーを取りに来てくれました。「海寿司」のハッピを着ているので、どうしたかと聞いてみると、特に意味は無いそう。日本人だからウケると思ったのでしょうか。
アジア系の人だったのでどこの出身かと聞くと、なんとインドネシアのバリ島だそう。
バリ島オタクでもある筆者は、すかさず一つ覚えのインドネシア語で挨拶すると喜んでもらえました。
バリ島の人は日本語が得意な人も多く、とてもフレンドリー。島民のほとんどが、バリ・ヒンドゥー教を信仰しているバリ島では、子供は男女共に一番目から四番目まで名前が決められており、カデさんという名前もすぐ「次男」だとわかるのが特徴です。そのため、バリ島には多くの同じ名前がいますが、下にニックネームをつけて区別しているのだとか。
世界をまたにかけて乗船している彼らのこと、また同じ船で巡り合うのは奇跡に近いかも知れませんが、最後に会えて良かったと言うと、とても喜んでくれました。
船の旅では、こうしたスタッフの人との「出会い」も貴重な思い出となります。
下船
ホライズン・コートから帰って、昨日の「白い帽子の女」の復習をしながらまったりしていると、メイドの「メリー・ジェーン」さんが入ってきました。
普段は優しいメリー・ジェーンさんでしたが、時間に限りがあったせいか「部屋は8時までですよ」と、そっけなく部屋を追い出され、指定のバーへ向かいます。
そういえば、部屋を使えるのは朝8時までなのを忘れていました。
指定のバーは待合室代わりになっており、そこで下船時間になるまで待機します。
よくよく考えてみると、部屋が8時までしか使えないのに、下船希望時間を10時にしてしまいました。
指定のバーでは、同様に下船時間の希望を遅くしてしまった人が待機していました。
飲み物なども用意してありますが、ひたすら水を飲んで冷房でさらに冷やされました。
まだまだ時間があると思ったら、ようやく下船時間になり、大荷物を引きずって下船口へ。
いままでは、4階のギャング・ウエイから下船していたのですが、乗船したときと同じ5階のインターネットコーナー横からの下船です。
自分たちの下船時間が来ると、日本語でアナウンスされるため、大荷物を抱えて前の人に続くように下船すると、大さん橋ホールの中に、前日夕方に廊下に出したスーツケースが並べて置いてありました。それを自分でピックアップし、宅配を往復で頼んであるので、佐川急便のカウンターに持っていきます。混雑しないように、カウンターもちゃんとあいうえお順になっていました。
何もかもがオーガナイズされ、段取り良く流れるようになっていました。2700名ものゲストに対応するのですから、当然といえば当然のことなのでしょう。
おわりに
こうして何事もなく終了した、筆者の初クルーズ。
感想はもちろん、大満足です。同行した母も、こんな年で体力的に大丈夫かと懸念していましたが、行く前より元気になって帰ってきました。
船旅というとまだまだ日本では、贅沢なイメージがありますが、欧米ではすでに庶民の娯楽として一般的な旅行手段となっています。
それに船内では嫌でもいろいろな人とかかわるため、煩わしいと思う人もいるかも知れません。自分の弱さや他人のわがままなど、嫌な面を見る場合もあります。でもそれを見ることこそ、「自分はひとりでは生きられないんだ」と実感することもできます。
日々の忙しさも煩わしさも、大海原を船がすすむ様子や沈みゆく太陽の美しさを見ていると忘れられそうです。
筆者のように、デジタル機器に日常的に浸かっている人も、電波の関係でデジタル機器もオフにせざるを得ないクルーズでは、かっこうの「デジタルデトックス」のチャンスです。こうすることで、イライラも自然におさまってくるのが不思議です。
このように船旅は、ただ贅沢を満喫するだけではなく、日々の煩わしさや人との関わりをもう一度見直すことが出来たり、精神をリラックスすることができます。
是非、年に一度は出かけてみたいですね。
お仕事で書いた「乗って確認!「ダイヤモンド・プリンセス」乗船のギモン」もよろしく!